コラム

継 / After story

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大泰寺サウナ・龍蒸庵(プロジェクトの概要)2/2

和歌山県那智勝浦にあるお寺・大泰寺――ここには、意外にもサウナが併設されています。豊かな自然に囲まれ、五感を研ぎ澄ませて自分と自然の一体感を感じられる特別な場所です。そんな全国でも珍しい「お寺サウナ」に関わったのが、株式会社アーティストリーの大西さんと、大泰寺の住職である西山さんお話をお聞きしました。

今回は、住職の西山さん編です。

【継】サウナでつながる、地域の新しいかたち

今回は貴重なお時間をありがとうございます。初めに大泰寺について教えてください。

西山さん: 大泰寺は開創1200年、熊野古道沿いに立つ、比叡山の開祖・最澄により開かれた歴史あるお寺です。お寺の縁起によると、地元の人々を苦しめる大蛇を封じるため、最澄が柳の木より薬師如来を彫り上げ、お祀りしたのが大泰寺の始まりと言われています。そして現在では、南紀地方屈指の薬師霊場として多くの方々に知られる存在となっています。

住職の西山さん

お寺に関していろいろな取り組みをされているんですね。

西山さん:はい。夜のお寺ツアーや座禅体験、キャンプ場の提供などを行っています。

その中でなぜサウナを作ろうと考えられたのでしょうか?

西山さん:大泰寺には山林があり、その維持が大きな課題でした。放置すれば木が大きくなりすぎて土砂崩れの危険や獣害を招きます。伐採は必要ですが、費用がかかる。どうにかして木を有効活用できないかと考えていたところ、知り合いから「テントサウナはどうか?」と勧められたのです。

大泰寺の裏山

サウナが山の管理とつながっているんですね。

西山さん:そうなんです。しかもサウナは若い世代や海外の方との交流にもつながりました。特に欧米の方はサウナ文化に親しんでいて、「一緒に入ろうよ」と自然にコミュニケーションが生まれるんです。お寺に若い人が足を運んでくれるきっかけにもなりました。

設計をアーティストリーに依頼されたきっかけは?

西山さん:神戸の「組紐KOBE」というサウナ施設のオーナーからアーティストリーさんのことを聞きました。実績を拝見すると、お寺に合ったデザインや新しい発想を持っていると感じました。お寺らしさを残しつつ、平凡にならないアイデアを出してくれるのではないかと期待しました。

組紐KOBE

出来上がったサウナを見て、どう感じられましたか?

西山さん:完成したサウナは想像以上でした。私が考えていた「木造のカクカクした建物」ではなく、曲線や凸凹を生かした有機的なデザインで、とても驚きました。薪ストーブ式のサウナは初めてでしたが、柔らかく包み込むような熱で、3時間があっという間に感じられました。

サウナを通じて伝えたいことはありますか?

西山さん:サウナを単なるリラクゼーションではなく、禅の世界への入り口にしたいのです。サウナの「ととのう」感覚は、座禅で得られる悟りの体験にとても近い。熱さに集中して邪念が消え、水風呂や外気浴で心が澄む。その流れが禅の修行に通じると思うのです。モヤモヤや苦しさを経て訪れる清々しさ。これは座禅の過程そのもの。外気浴で風景が鮮やかに見える感覚は、まさに悟りに近い体験だと思います。

これからどんな場にしていきたいですか?

西山さん:サウナをきっかけに、人と人、地域と外の人がつながる場所にしていきたいです。完成して終わりではなく、ここからアップデートを重ねていきたい。たとえば地域の果物を使ったスムージーを提供したり、地元の人が関わる仕組みを増やしたり。そうして訪れる人と地域がつながり、山や農地が守られる循環が生まれれば理想です。

地域発展につながる場ですね。

はい。実際に、このプロジェクトを通じてたくさんの縁が広がりました。地元の方々や施工に携わってくれた人たちとの交流も深まりましたし、訪れる人が「また来たい」と言ってくださる。その姿を見ていると、サウナはただの施設ではなく、人と人をつなぐ場そのものなのだと実感します。

新しいつながりも

アーティストリー社員一同も整いました

完成したサウナは、ただのリラクゼーション施設ではなく、禅の世界に触れるきっかけであり、人と自然、地域と訪れる人をつなぐ場所になっています。ここで過ごすひとときが、心をほぐし、五感を研ぎ澄ませ、ちょっとした気づきや楽しさを生んでくれる。これから、このサウナを通して大泰寺や地域にどんな新しい物語が生まれるのか、想像するだけでワクワクします。

【挑】では、担当した大西さんにもお話を伺っています。製作側の想いやこだわりが詰まったお話です。ぜひご覧ください。

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